11 月的理想乡
拓翔は 1 年の時から自警団に所属し、今ではその能力を買われ隊長を務めていた。
獣人化の異能を持つおっちょこちょいな後輩、野々宮楓花。
閃きのままに生きる気さくで明るい同級生、三刀屋瀬奈。
風を操る異能を持つ優しくて頼れる先代の団長、星崎心音。
能力は不明。天然かつ毒舌な期待の新人、羽鳥愛瑠。
信頼できる仲間たちと力を合わせ、宝石を守る。いつもなら、そうだ。
だが今年は違う。
自警団のリーダーは表の顔。拓翔は窺っていたのだ───宝石を奪うチャンスを。
宝石を奪い、死んだ妹を蘇らせる。そのために 3 年を費やし準備を重ねてきた。
祭りの夜に交錯するそれぞれの願い、それぞれの思い。
祭りを終えたその先にきっとある理想郷 (アルカディア) を信じ、
彼は、彼女らは、運命の 10 月 31 日を迎える───